長崎平和宣言、核兵器容認論に危機感 被爆から62年
長崎平和宣言、核兵器容認論に危機感 被爆から62年
長崎は被爆から62年を迎えた。
長崎市松山町の平和公園では、長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典が開かれ、被爆者や遺族
ら5500人が参列。
原爆が投下された午前11時2分、犠牲者を悼んで黙祷(もくとう)をささげた。
4月に初当選し、平和宣言を読み上げた田上富久市長は、久間前防衛相が原爆投下を「し
ょうがない」と発言したのを受け、「原爆投下をめぐる誤った認識」が広がっていることへの危機感を表明。
非核三原則の法制化などを訴えた。
被爆者や遺族、関係者らが参列して原爆犠牲者慰霊平和祈念式典が行われ、長崎市・田上市長が
平和宣言を読み上げた=9日午前11時11分、長崎市の平和公園で 式典では、長崎で原爆に遭い、
この1年間に死亡が確認された3069人の名簿が平和祈念像前の奉安箱に納められた。
累計では14万3124人になった。
被爆者や遺族の代表、安倍首相らが献花した後、原爆投下時刻に高校生の男女が「長崎の鐘」を打ち鳴らした。
音色が響く中、参列者たちは原爆の熱線、爆風、放射線にさらされて亡くなった人たちの冥福を祈った。
平和宣言は4月の市長選のさなかに暴力団幹部に射殺された伊藤一長・前市長の遺志を受
け継ぎ、核兵器廃絶に取り組む決意を表明した。
北朝鮮による核実験やイランの核開発疑惑などに触れ、「核不拡散体制が崩壊の危機に直
面している」と指摘。
米国をはじめとするすべての核保有国が、自らの核兵器の廃絶に取り組むべきだと訴えた。
日本政府への注文も多い。
久間発言に直接言及することは避けたが、「被爆国のわが国においてさえも、原爆投下へ
の誤った認識や核兵器保有の可能性が語られる」現状を憂えた。
昨秋、中川昭一・自民党政調会長らが核武装について「議論があっていい」と発言したことへの批判も込めた。
式典には核保有国のロシア、パキスタンを含め15カ国の駐日大使らが参列し、初参加は10カ国だった。
衆院長崎2区選出の久間氏は「混乱を招くのを避けたい」として欠席したらしい。