|
賃金業関連の法令
(1)出資法
1. 高金利の処罰
賃金業者は、出資の受け入れ、預かり金及び金利等の取締りに関する法律(以下「出資法」という)第5条第2項の規定により、年29.2%を超える割合による利息の契約をし、又はこれを超える割合の利息を受領してはならないとされています。
これを違反した貸金業者に対しては、3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科するとされています。
なお、貸金業者がその貸付けに関し受ける金銭は、礼金、割引料、手数料、調査料、その他何らの名義をもってするを問わず、利息とみなされます。
2. 特例について
日賊貸金業者、電話担保金融、質屋については、特例として金利の上限が別途定められています。
・日賊貸金業者 年54.75%
・電話担保金融 年54.75%
・質屋 年109.5%
3. 金銭賃借の媒介手数料の制限
金銭の賃借の媒介を行う者は、出資法第4条第1項の規定により、その媒介に係る賃借の金額の100分の5に相当する金額を超える手数料の契約をし、又はこれを超える手数料を受領してはならないとされています。
これに違反した者に対しては、3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科するとされています。
(2)利息の制限法
1. 金銭を目的とする消費貸借上の利息の契約は、その利息が下の利率により計算した金額を超えるときは、その超過部分につき無効とする、とされています。
・元本が10万円未満の場合 年20%
・元本が10万円以上100万円未満の場合 年18%
・元本が100万円以上の場合 年15%
2. 債務者は、前項の超過部分を任意に支払ったときは、同項の規定にかかわらず、その返還を請求することができない。
(3)貸金業規制法
1. 貸金業を営もうとする場合には県・財務局の登録が必要
A.貸金業の規制などに関する法律(以下「貸金業規制法」という。)第3条において、貸金業を営もうとする者で、二以上の都道府県の区域内に営業所等を設置してその事業を営もうとする場合は財務局長の、一の都道府県の区域内にのみ営業所等を設置してその事業を営もうとする場合にあってはその営業所等の所在地を管轄する都道府県知事の登録を受けなければならないと規定されています。
なお、財務局長又は都道府県知事の登録を受けている貸金業者は、それぞれ登録番号を有しています。
その登録番号は、貸付条件の広告や契約の際に交付される書面などに記載されています。
(登録番号例:○○財務局長(○)第○○○○○号、△△県知事(△)第△△△△△号)(注)質屋営業については、質屋営業法に基づき、都道府県公安委員会の許可を受けることになっています。
B.同法第11条において、登録を受けない者による無登録営業は禁止されています。登録を受けずに賃金業を営んだ者に対しては、3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科するとされています。
2. 取立て行為の規制
賃金業規制法第21条において、賃金業者などは、貸付けの契約に基づく債権の取立てをするにあたって、人を威迫し又はその私生活若しくは業務の平穏を害するような言動により、その者を困惑させてはならないと規定されています。
(注)平成12年6月1日より施行された法律では、従来の賃金業規制法に比べ、行為規制の強化が行われ、賃金業者の貸付けに係る契約について保証した保証業者が弁済をした場合や賃金業者の委託を受けた第三者が弁済をした場合において、これらの者が取得した求償権等について、これらの者が行う取立て行為についても、違法な取立て行為の禁止を含めた行為規制の対象となっています。
3. 貸金業者が交付しなければならない書面
貸付けの契約を締結したときは、遅滞なくその契約内容を明らかにする書面をその相手方や保証人等に交付しなければならない
4. 受取証書の交付
貸付けの契約に基づく債権の弁済を受けたときは、その都度、直ちに、受取証書を当該弁済をした者に交付しなければならない
5. みなし弁済(利息制限法と出資法参照)
前述の通り、利息制限法では民事法上の上限金利を定め、それを超える利息の約定について、その超過部分を無効としているが、貸金業者からの借り入れについては、債務者が利息制限法の上限金利を上回る利息を任意に支払った場合で債務者等に必要な書面が交付されているときは、貸金業規制法第43条(任意に支払った場合のみなし弁済)の規定により、利息制限法の規定にかかわらず、有効な利息の弁済とみなす
6. 無登録業者の広告・勧誘の禁止(平成15年9月1日〜)
無登録業者による広告(チラシ)・勧誘行為(DM、電話や携帯電話のメール等)は禁止されています。
7. 高金利契約の無効化(平成15年9月1日〜)
貸金業の登録の有無を問わず、貸金業を営むものが、年109.5%を超える割合の利息による金銭の貸付をした場合には、その貸付契約は無効とされています。
(4)日賊賃金業者に係る規制
日賊賃金業者とは、出資法一部改正法附則において、賃金業者の登録を受けた者のうち、下記に掲げる業務の方法による賃金業のみを行う者とされています。
A.主として物品販売業、物品製造業、サービス業を営む者で、かつその常時使用する従業員の数が5人以下であるものを相手先とする。
B.返済期間が100日以上である。
C.返済金を返済期間の100分の50以上の日数にわたり、かつ、貸付けの相手方の営業所又は住所において賃金業者が自ら集金する方法により取立てる。
1. 出資法上の上限金利の特例
日賊賃金業者に係る出資法上の上限金利は、特例として年54.75%(日歩15銭)とされています。
2. 賃金業規制法上の規制
日賊賃金業者については、賃金業規制法上、一般の賃金業者に対する規制に加え、営業所等への掲示、貸付条件の広告及び貸付けの契約に際して交付すべき書面に、自らが日賊賃金業者である旨及び出資法一部改正法附則で定められた業務の方法等を記載しなければならないとされています。
|
|